プーブロ

日々の出来事から考えたことや、ふと思いついたこと、主に、そうした頭の中の出来事が吐露されることと思います。アウトプットの場ですね。

映画『くちづけ』を観ました。

現在公開中のえ映画『くちづけ』をご存じでしょうか?

知的障害者のグループホームを舞台に、そこで暮らす障害者と関わる人々のほのぼのとした日常を描きながら、障害者が生きることにまつわる現代の色んな課題を提起する物語です。

映画を鑑賞しながら、過去関わった障害者を想起しました。

感想を述べる前にまずはあらすじを・・・

 

主人公は軽度の知的障害を持つ30才のマコ。

幼い頃に誘拐され、レイプされて保護された経験から、男性恐怖症となる。

父親は、自分が守れなかったふがいなさから、漫画家の仕事を辞め、男手一人で必死にマコを育てる。

知人の紹介で、父親はグループホームにボランティアとして働きながら、マコも入所させる。

そこではマコは発作は無く、同じ入所者のうーやんと仲良くなる。

父親はマコが穏やかに過ごせていることに喜んでいたのも束の間、癌で余命三か月だという告知をされ、自分がいなくなった後のマコの生活について悩む。

犯罪者の五分の一が障害者だとか、浮浪者は障害者が多いとか、不穏な話ばかり耳にし、不安になる。

マコは父親と一緒じゃないと生きていけないと言う。

そんなマコを施設に入れるが、何度も逃げ出してしまう。

そしてとうとうマコの首を絞めてしまう。

その一月後、父親も亡くなる。

 

簡単に言えば、こうなるのですが、もちろん中身は深く、感動がいっぱいの物語です。

ハンカチ無しでは見られません。

私は昨日(日曜日)の午後、メジャーな映画館に行ったのですが、動員少な目でした。

障害者がテーマというのは不人気なのでしょうか。

 

まず、このグループホーム、ドクターとその妻が経営。

従業員はパートのおばちゃん一人と、高校生の娘が手伝うという、とっても家庭的な雰囲気で、入所者の障害年金から利用料をいただいて経営しているというところから、法制度外の、無認可施設のようです。

PCPセンターと一緒ですね!

設立して10年超になるようですが、ドクターは何故小規模な無認可施設にしたのでしょう?

私がPCPセンターを無認可でやっている理由は、法制度の枠にしばられたくないからという見栄と、資源が揃っていないからという現実があるのですが(それだけじゃないですけどね)、ドクターならば少なくとも後者の理由は無いと思う。ならばやはり、アットホームを求めたのかしら。

話の中に、利用者の一人の親が利用料を1年間滞納しているため、グループホームの経営が成り立たず、出てもらわなければならない事態になるのですが、無認可施設であるがゆえ、支援費、訓練費が国から下りずに、そのぶん利用者負担が増すという現実を無視して、使い込む保護者が一方的に悪いとは言えないと思うんです。

それから、どうもこのグループホームには支援の専門家がいないようです。

いくらアットホームが良いと言っても、専門的情報の的確な提示や支援方法が組み込まれていない結果の殺害だとも考えられると思いました。

良心で、精一杯、相手のことを想って支援することは大切ですが、専門家がいたならば、個別支援計画を立ててマコちゃんの将来の見通しを視覚的に示し、父親を安堵させられたのではないかと思います。

父親を、保護者の会とつなげて、もしくはメンター支援によって不安を解消させられたかもしれません。

そういう意味では、代表であるドクターの責任は重いと思います。

テーマの中心は、親亡き後のこの子の生きる道なんですよね。

親は、それが不安で仕方がないのです。

そのために、一人でできる訓練というものをたくさんしなければならないと思っている人も多いみたい。

でも、本当は、一人で何でもできるより、人に頼る訓練の方がはるかに必要だったりします。

障害が無くても一人で何でも出来る人なんていないから。

それに、いちど支援につながれば、途中で親が事故にあったとしても支援が止まることはなく、逆に必要な支援が確実に投入されるのです。

もし財産が無くなったならば生活保護になるかもしれないし、就労訓練になるかもしれない。

だけど、路頭に迷うことはありえない。

何故路頭に迷う障害者がいるのか、それは親が支援を拒んだからだと思います。

親がいるうちに支援とつながらなかったら、なかなかそこに支援のニーズがあることに気付けないですから。

だけど、特に軽度だと、あえて支援は必要ないと思うかもしれない。

コミュニケーションが苦手な親だっているかもしれない。

そう考えると、やはり地域から働きかける支援制度って重要になってくるんだろうな。

それから、物語の中で妹が、障害のある兄を引き取るという場面があるのですが、妹が兄を預けていることに罪悪感を感じていて、一緒に暮らそうとするんだね。

これも複雑。

やはり妹に負担が大きいのではないかと思います。

まぁそれは、本人が決めたことなので、やってみていいとは思いますが、いつでも相談できて頼れる場所を確保しておくことが大切だと思います。

最後に、事件に発展した最も重要なポイントは、マコちゃん本人の意見を全く無視してしまっているところにあると思います。

父親は、自分の不安感から娘を殺害した。

だけど、マコちゃん本人は父親と一緒にいたい、それだけだったんですよ。

なのにいきなり施設に入れるのは間違ってる。

それが無理なら殺す、というのは身勝手です。

父親の最後まで一緒にいさせてあげれば良かったんです。

その後も、本人主体で支援できたはずですから。

そう、本人中心の計画、パーソン・センタード・プランニング(PCP)が大切なんです!